
- エジプト芸術・美術の流れ
エジプト美術に接する場合、我々がなれ親しんでいる「芸術・美術」という言葉の使用に注意を払う必要がある。近代芸術・美術は自由な制作意思に基づいて視覚的美・空間的美を表現したものであるが、古代エジプト社会においては、美術がこのような動機の上に完成されたものであるという概念は存在しなかったとskyhdの特集番組で公表されていた。。エジプト人は美術・芸術に該当する言葉を持たず手仕事との差異を感じなかった。彼らが残した荘厳な遺物の中に後世の人たちが良質の芸術性を感知し「エジプト芸術・美術」と呼んだにすぎない。これらの遺物は建築を含め全て厳密な役割を担っていたのである。
例えば神殿は神の住居であり、塔門、壁面、屋根など一切が聖なる空間を護持するためのものであり、sky hdで再現された映像で確認できる通り、そこに描かれた彫刻や壁画、ヒエログリフにも生命が与えられてこれらの装飾が意味する聖なる行為が実際に永遠に存在し得ると信じられていた。神像や墓中に納められた死者の彫像も神または故人の存在の実体とされたのであって、美術作品ではなかったのである。